広重ブルーのトイレ
浮世絵 厠
丁子屋様のトイレリノベーション
丁子屋様の2階にある厠を改装させて頂きました。
400年以上続くとろろのお店ですが、
当初はおそらく、お客様用トイレなどは、なかったのではないでしょうか?
浮世絵の、丸子宿にも登場する茅葺屋根のとろろ屋さん、ということもあり、
浮世絵を厠で表現すべくデザインをしました。
広重ブルーのトイレ
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2018/08/1f273104ddb2c7acfccb948929a72d9a.jpg)
晴天の霹靂
壁は広重ブルーとも言われている、青色に。
下の画像、真珠の耳飾りの少女。
この頭に巻いている布のブルーが、
広重の浮世絵によく使われている、青い顔料と同じ物だとか・・・
その当時の世界のつながり方が、色によって想像できるということが、
とても不思議で、興味深いですね。
今ではネットのおかげで、世界が身近な感じがしますが、
当時の時代で、この色に出会った時の絵描きたちの反応は、
それはもう、なんだこの色は!!!!!!みたいに
天と地がひっくり返るくらいの、
そういったインパクトがあったのかもしれません。
晴天の霹靂・・・
この広重の浮世絵には、欠かせない深みのある 【広重ブルー】
この色を使って、静かな浮世絵の夜を厠で表現することに挑戦しました。
![ペルシアンブルー](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2019/04/b259ca9504aecd14198f8890140fce3a.jpg)
逆輸入の梅
その夜の壁の中には、
薄暗闇にうっとりゆれる梅の花を塗り壁で立体的に描き、
下には花瓶を添えました。
ゴッホも模写したと言われている浮世絵の梅。
その梅をオマージュして、この広重ブルーの壁へ。
いわば、日本から一度海を渡り、そうしてまた、ここ 丸子の丁子屋のこの厠にたどり着いた、
逆輸入の梅ということになります。
この梅を眺めて、見る人それぞれに「 梅物語 」・・・十人十色の梅が咲く壁。
想像してみてくださいね。
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠、花瓶と梅の花](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2018/08/5e4640ff81a13e66ae5b36cc33d639dc.jpg)
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠、梅の花](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2018/08/4edc8d491674ddf75dd204e8e6d45b02.jpg)
当時にはおそらく無かったと思われる、おむつ替えができるブースも時代に合わせて完備。
広重ブルーのトイレ 施工 sugiekensetsu
開運の道へと誘う亀 広重ブルーのトイレ
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠 亀](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2018/08/8dc3850f6a665eecb1855c3e7f5bc80e.jpg)
足元には悠々と歩く亀の姿が。縁起物として昔から色々なところに登場する亀。
絵の中から飛び出してきたのか、逆に絵の中に飛び込んでしまったのか・・・??
そんな不思議な感覚を味わえる、 浮世絵厠。
丁子屋12代目の生前の言葉で、非常に印象に残っている言葉があります。
「 前途は洋々たるもんだ。 」
goo辞書参照
『今後の人生が大きく開けていて、希望に満ちあふれているさま。
「前途」は将来、目標までの今後の道のり。
「途」は道のりのこと。
「洋洋」は水があふれるように一面に満ちている様子。
前途が大きく広がっていることを表す。』
この言葉の響きと12代目の話し方がそれはもう洋々としていて、
その姿が忘れられません。
ゆっくりと歩いていくこの亀の行く先には、
12代目の見ていた光景と同じもの広がっているのだろうか?
亀の背中に期待を抱かずにはいられません。
粋
個別ブースの壁には檜の板をあしらい、ほんのりとひの木のいい香りが漂う癒しの空間。
天井に付くダウンライトも写真ではわからないのですが、
フレームの内部が微妙にブルーになっているダウンライトを採用。
表面には現れてこない隠れたこだわりです。
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2018/08/130cea030e1638c9972980f0ddc4dacb.jpg)
一歩 中へ入ると
ドアの裏には 着物の帯飾りを。
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠、帯飾り](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2018/08/11979e1c149d510d10982bd5911a34f8.jpg)
江戸時代の 「粋」 を表現。
当時の江戸では、着物の裏地を綺麗な柄にして、隠れたおしゃれを楽しんでいたのだそうです。
その心を、ドアの裏側を裏地に見立てて、表現してみました。
見えない所が萌えるデザイン、そういう洋服、ありますよね?
そんなイメージです。
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠、帯飾り](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2018/08/c1af1b81ae49c9d5d5d889abab34e336.jpg)
続いて 下の写真、奥の白い壁をご覧ください。
真ん中右隅の模様が小さく描かれているのが見えますか?
これは広重の絵に出てくる、人物が着ている服に、時々見られる家紋です。
カタカナで ヒロ と読めますよね?
広重の遊び心がひしひしと伝わってくるこのデザイン(ひし形だけに)。
これまた粋を、感じさせるこの家紋。
隠れ家紋として各ブースの何処かに刻まれています。
ぜひ探してみてくださいね。
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠、広重 家紋](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2018/08/5e4182734283367f40db60d958da20bc.jpg)
世界で一番大げさな出口
そして、一通り厠を体感して頂いた後に 、必ず この 「 戸 」 と向き合います。
人生の節目で現れる、新たな出会いへと続く入口。
今いるトイレ空間からの出口。
入口でもあり出口でもある、そんな戸を前にして、ひと呼吸。
自分と向き合い覚悟を決めて、一歩前へ。
お腹を膨らませた後には、希望に胸をふくらませて・・・行ってらっしゃいませ!
おっと、スリッパを脱ぐのを、お忘れなく。
厠とは思えないほど、世界で一番大袈裟な出口です。
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠、トイレ 引き戸](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2018/08/d1fed3167434ca0d16ac92d2344a99c3.jpg)
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠、福寿印](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2018/08/35e75813f17f49061c4e36f39b0b4012.jpg)
馬鹿印
???
っと一歩踏み出す前に。
馬? 鹿?
これは 広重デザインの烙印、福寿印と呼ばれるものです。
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠、福寿印](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2019/04/c6c0ec694a8eebc29e3aee894c09d501.jpg)
別名 馬鹿印 とも呼ばれている烙印。
福をくずしたものが 鹿の絵に、寿をくずしたものが 馬に、
馬鹿 と 福寿。
このデザインにも広重の人柄を感じますね。
外からは 馬鹿がひっくり返って鹿馬となるように、建具を切り抜きました。
入る時は、何だこれは?ですが、
出ていくときには、否が応にも目に入る、福寿印。
お客様がこの厠体験の最後に、流れで烙印を押していく形に・・・
そうです、この厠に飛び込んだ瞬間、
あなたがこの浮世絵の主人公となり風景をつくっていく。
右往左往して・・・試行錯誤して・・・
時には 紙切れ だってあるでしょう!
こうしていつのまにか絵を描き、そして完成の出口を後にする。
この浮世絵厠 広重ブルー の世界は、お客様の数だけ存在するのです。
![](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2019/04/36a4908a557796858a347c063a73ce60.jpg)
![](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2019/04/fb74781ead4b853b38364c96f69df6c9.jpg)
![](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2019/04/c3b2b24e15dfb056d8c28f4822635550.jpg)
![](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2019/04/5ce71dd626eb995d72471cce1b290b16.jpg)
![](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2019/04/ab13f4ec019203beed1cc8de6ecd2237.jpg)
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠、土間](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2019/04/f61634216ebc49b47d76ecdec8c0ade2.jpg)
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠、広重ブルー 提案](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2019/04/acf354261f498d49a2ff5aa1188c9f59.jpg)
![丁子屋トイレリノベーション、広重ブルーの浮世絵厠、店舗 トイレ](https://sugie-kensetsu.jp/wp-content/uploads/2018/08/eaf0e06f4e0acfcd8609cf9d96e64bd0.jpg)
PS.人生はとろろだ
旅先の空気を切り取っては、思い出にして、
良いことも、困難も、ごはんにかけて味わっていく。
時にはとろろのような粘り強さも必要だろう。
粘り強く、そしてさらさらっと生き抜いてやる。