イタリアバックパックの旅
スパイス
カフェスタイルの家 造り
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カフェスタイルの家
2003年、夏、イタリアへ一人旅に出かけた。
目的も理由も曖昧な旅。リュック 一つを背中に、俗にいうバックパッカーというものである。
歩く街、歩く街が、歴史を感じさせる佇まいで、旅人を優しく、
時に驚きと共に迎えてくれる。
「 冷静と情熱のあいだ 」というフィレンツェを舞台にした映画の中でも、
「この街の住民は過去の中を生きている。」というセリフがあるように、
本当に中世で時が止まってしまったかのような、セピア色の街並み。
そのレトロな街並みも、日本で生まれ育った私には、凄く新しい世界のように思えた。
スマホ
当時、スマホはまだなく、日本はガラパゴス携帯が活躍していた。
今のように、解らないことがあれば、すぐに検索するようなことは出来なかったし、
ようやく低解像度のカメラ付きが出たくらいだった。
もちろん、旅の途中、一度もパソコンには触れていない。
それでも不便ではなかったし、特に調べようとも思わなかった。
現地で連絡をとる手段は、公衆電話とハガキ。
なんだか随分と昔の話のように感じる。
イタリアバックパックの旅
明日は何処へ行こうか? この街には何がある?歴史は? おいしいパスタのお店は?・・・
今思えば、よく旅ができたものだと感心してしまう。
というより、旅とは本来そういうものなのだろう。
地球の歩き方という、バックパッカーのバイブル本。
それと、宿で出会う旅人の情報。それらに、フィーリングというスパイス を加えて、
ブーツの形をしたイタリアを、毎日毎日歩き回った。
かかとがすり減っているのも気が付かないくらい、1分1秒ごとに、無我夢中だった。
イタリアバックパックの旅
ある朝の風景
でこぼこの石畳が続く通り沿いには、肉屋や八百屋が立ち並ぶ。
これがまた、すごくおいしそうに見える。
夕方になると、バールやカフェ、そしてトラットリアが地元の住民達で賑わい始める。
どれもこじんまりとしていて、個人経営のお店のように見えた。
日本でいう所の、コンビニやチェーン店のレストランが少なかったように思う。
気が付かなかっただけかもしれないが、ほとんど見かけなかった。
そのせいもあってか、
行く街 行く街で、そこにしかないお店に出会い、
それぞれの街、独特の空気を感じることが出来た。
イタリアバックパックの旅
私は小さな個人経営のお店が好きだ。
個人のお店の良いところは、その街に行かなければ出会えない、個性を与えてくれるところだと思う。
個性が集まった街は、それだけでも、訪れる理由になる気がする。
Bar
ある朝の風景。
バールでコーヒーを飲んでいると、
口髭をたくわえたダンディーな おやじ がやってきた。
いきなり「ボンジョルノ~!!」と入ってきては、
カウンターで一杯、 小さなエスプレッソを注文。
「いつもの!」みたいな雰囲気が、言葉は解らないが見て取れる。
そこで、ほんの少しの時間を楽しむと、すぐに、シャキッとした顔つきで店を出ていった。
おそらく仕事の前の一杯なんだろう? 常連臭の漂う朝の光景。 ほんの2、3分の出来事であった。
イタリアバックパックの旅
お店におはよう! と言いながら入ってくる様子に 、なんだか不思議な感じがしたのを覚えている。
私は、日本でスターバックスに入る時、おはよう! とは言わない。
でも、もし友人がやっているような身近なカフェだとしたら?
きっと無言では入って行かないだろう。
だからと言って、べちゃくちゃ喋るわけでもないけれど・・・
イタリア語のわからない私にも、なにげないその光景が、今でも心の片隅で眠っていて、
寄せては返す波の泡みたいに、ふとした時に流れ着いては、また消えていく・・・
たわいのない記憶が、心地よい思い出になっている。
そのカフェスタイルのせいなのか?
カフェスタイルの家
快適温度の情熱
その光景の後ろに広がる、お店の佇まい( デザイン )には、
そのお店づくりに携わった建築家であったり 、
デザイナーや、職人、店主、そして家族の、
その人達の情熱が、否が応でも込められていて、
それらを間接的に感じられるのが、その空間であり、
熱すぎるその情熱を、丁度良い温度にして私達に届けくれる背景となる。
色んな人の人生の背景に。
そんな空間が出来上がるまでには、きっと色んなドラマが隠れていることだろう。
そのドラマを背景にして、折り重なるように、毎日別の誰かのドラマが展開している。
そんな背景に重要なこと
この場所、なんだか居心地が良いなぁ。
誰が主張するわけでもなく、そう感じてもらえる空間。
そういう、居心地の良さを造り上げる要素の中で、一番重要なのは、やはり
関わる人達の想いなのではないだろうか?
良いデザインは、無言で語りかけてくる。
誰かの言葉でもあったように、 「考えるな ・・ 感じろ!」 まさにこれだろう。
この、感じるという部分にじんわりと語りかけてくる 、
そういうデザインと出会えた時、自然とその場所にいたいという気持ちが湧いてくるのだ。
そして、離れられなくなる。
落ちて着く ・・・・・ 落ち着く。
・・・ another cafe style ・・・
毎日の背景をお洒落に
いつからか、cafeみたいな家に住みたいと思うようになった。
毎日の背景をお洒落に。
日本の家も、そのお店の持つデザイン性を、もっと取り入れても 良いのでは?
葉っぱの隙間を通り抜ける柔らかい風を感じながら
1杯のコーヒーを堪能できる部屋だったり、
街と自然の奏でる音をBGMに、
時間を忘れて、遊びや趣味に没頭できる 部屋だったり、
週末には、心許せる人たちとの食事やおしゃべりを味わえる、リビングだったり、
極上の充実した眠りを提供してくれる、寝室だったり。
人それぞれの カフェスタイル 。
その家々で彩られた街並みの中を、旅人達がまた歩く。
ただ、ただ歩いていく。
そんな背景の中に佇むひとつの【家】 を、これからもつくり続けて行きたい。
あなたの カフェスタイル を聞かせてください?
【 another cafe style 】